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perfection of mind ~自心に究極の輝きを~

生まれ育った地域の中で、「障害」児・者が共に生き、学び、育ち、それぞれが尊重され、誰もが、幸せを感じイキイキ活動できる地域になることを目指し活動して行(生)きます。

個人面談の前に、整理しておきたいこと

11月は個人面談の季節ですね。

面談のあとに「あれを言えばよかった」と話される方に、

私は相談の現場で何度も会ってきました。

面談は、だいたい10〜15分です。短いです。

だから、前もって整理しておくだけで、中身がぜんぜん変わります。

今日は、面談の前にやっておきたいことをお伝えします。

■ ① 伝えたいことは、3つまで

あれもこれもと思うと、結局どれも伝わりません。

おすすめは、次の3つに絞ることです。

・今、一番困っていること

・家での様子で、先生に知っておいてほしいこと

・学校で気になっていること

まず紙に思いつくまま書き出して、それからこの3つに分けてみてください。

書き出すだけで、頭の中がかなり整理されます。

■ ② 気持ちより先に「様子」を伝える

「うちの子は集中できなくて困っています」と言うと、

先生は何をすればいいのかが見えません。

「宿題を始めるまでに30分かかります。タイマーを使うと、少し早く始められます」

こう伝えれば、先生は学校でも試せます。

様子と、うまくいった対応。この2つをセットで伝えるのがコツです。

困りごとだけを伝えると、先生には「お願い」ではなく「苦情」

に聞こえてしまうことがあります。

 

■ ③ 言い換えるだけで、伝わり方が変わる

× 「前の先生は分かってくれていました」

○ 「去年は、この方法で落ち着いて過ごせていました」

× 「また同じことが起きると思います」

○ 「こういう場面で不安定になりやすいので、様子を見ていただけますか」

前の先生や、他の学校の対応と比べると、先生は身構えてしまいます。

事実と、うまくいった方法だけを渡す。それだけで、受け取り方が変わります。

 

■ ④ お願いは「ひとつだけ、具体的に」

「よろしくお願いします」だけでは、先生も何をすればいいか分かりません。

・テストの時だけ、声をかけてもらえませんか

・困ったときに見せるカードを、机に置かせてもらえませんか

このように、ひとつに絞って具体的に伝えると、

先生も検討しやすくなります。

お願いが多いと、全部が「保留」になりがちです。まずひとつ。

うまくいったら、次のお願いにつなげられます。

 

■ ⑤ 先生に聞きたいことも書いておく

聞くのを忘れて帰ってくる方も多いです。

メモに書いておけば、慌てません。

・授業中の様子

・友だちとの関わり

・休み時間の過ごし方

・家で試してほしいこと

先生から見えている姿は、家とは違うことがよくあります。

それを聞くだけでも、大きな収穫になります。

 

■ ⑥ 最初に「いつもありがとうございます」

小さなことですが、効きます。

先生も、毎日たくさんの子に向き合っています。

最初のひとことで、その後の空気が変わります。

 

■ 口で言いにくいときは、先に書いて渡す

面談の場で、うまく話せる自信がない。そういう方も多いです。

その場合は、A4一枚のメモを作って、面談の最初に

「今日はこれを見ながらお話しさせてください」と渡してしまうのも、

ひとつの方法です。

先生も、話を聞きながら紙を見られるので、内容が頭に入りやすくなります。

面談のあとも、先生の手元に残ります。

口頭だけだと、どうしても抜けてしまうところを、紙が補ってくれます。

 

■ 当日のメモは、A4一枚で

面談当日は、次の4つを一枚にまとめておくと便利です。

  1. 伝えたいこと(3つ)
  2. お願い(ひとつ)
  3. 聞きたいこと
  4. 面談で決まったこと(空欄にしておく)

■ 面談のあとも、大事です

終わったら、その日のうちに、決まったことをメモしておいてください。

・先生が試してくれること
・家でやってみること
・次に確認する時期

「言った」「聞いていない」を防げますし、次の面談で

「前回のあれ、どうなりました?」と聞けます。

連携は、1回の面談で完成するものではありません。

続けることで、形になっていきます。

面談は、先生と戦う場所ではありません。お子さんのことを、一緒に考える場所です。

整理するのが難しいときは、メモを作るところから、一緒にやりましょう。

 

「この子の幸せ」を、親以外と共有できていますか?

このシリーズの最終回です。

9回にわたって、

18歳以降の長い人生を見据えた様々なテーマをお話ししてきました。

今日は、その締めくくりとして、最も大切なことをお伝えしたいと思います。

私の一番伝えたいこと・・・

「この子の幸せ」を、あなたは誰かと共有していますか?

「幸せ」は親だけが知っている

障がいのある子どもの「幸せ」を、最もよく知っているのは親です。

この子がどんなときに笑顔になるか。

何が好きで、何が嫌いか。どんな環境で穏やかに過ごせるか。

これらを、一番深く知っているのは、長年そばにいた親です。

でも、だからこそ問題がある。

「幸せを知っているのが親だけ」という状況は、

親がいなくなったとき、その「幸せ」ごと失われてしまうリスクを抱えています。

「幸せの定義」を言葉にする

「この子の幸せ」を他の人と共有するためには、

まずそれを言葉にする必要があります。

「笑顔でいること」「安心して暮らせること」

——それだけでは、伝わりにくい。

「好きな音楽が流れているとき、体を揺らして笑顔になる」

「ルーティンが守られているとき、穏やかに過ごせる」

「特定の支援者と一緒のとき、自分から話しかけにいく」

こういった具体的な「幸せの場面」を書き留めておくことが、

「この子の幸せ」を他の人と共有する第一歩です。

「幸せを守る人」を増やす

「この子の幸せを知っている人」を、親以外にも増やすこと

——これが、長期的な視点で最も大切なことだと、私は信じています。

支援者、地域の人、きょうだい、親族——誰でも構いません。

「この子はこんなときに笑顔になる」「こういう環境が好きだ」ということを、

少しずつ共有していく。

その積み重ねが、親なきあとも「この子の幸せを守れる人」

のネットワークを作っていきます。

23年以上の地域活動を通じて、私が最も強く感じてきたことがあります。

地域とは、制度ではありません。

「この人のことが気になる」「何かあれば声をかけたい」

と思う人のつながりのことです。

そのつながりを、今から少しずつ育てていくこと。

それが、どんな制度よりも確かな「親なきあとの備え」になります。

「幸せ」は変わっていく

最後に一つだけ伝えたいことがあります。

「この子の幸せ」は、変わっていきます。

子どもの頃に好きだったことが、成人後には変わることがあります。

合っていた環境が、年齢とともに変わることがあります。

だからこそ、「幸せの定義」は固定せず、その都度更新していく必要があります。

そのためには、常にその子のそばで

「今、何が好きか」「今、何が心地いいか」を見続けることが必要です。

親がいなくなっても、誰かがその子のそばで

「今の幸せ」を見続けてくれること

——それが、私が願う「地域の中で生きる」ということの本質です。

今日のワーク

問い①:あなたのお子さんの「幸せな場面」を、具体的に3つ書いてみてください。


その場面を、今日誰か一人に話してみてください。

 

問い②:このシリーズを読んで、「まずこれだけはやろう」

と思ったことを一つだけ書いてください。


どんな小さなことでも構いません。

書いたら、今週中に一歩だけ踏み出してみてください。

このシリーズを終えて

10月のシリーズを通じて、18歳以降の長い人生を見据えた様々なテーマを

お話ししてきました。

18歳以降の人生の長さ、幼少期に全力を使い果たすことの危うさ、

自立の再定義、親なきあと、居場所、お金、暮らしの選択肢、

親が元気なうちにやること——

どれも、現場で何度も向き合ってきたリアルな問いです。

このシリーズが、あなたとお子さんの「長い人生」を

考えるきっかけになったとしたら、こんなに嬉しいことはありません。

来月も、一緒に歩んでいきましょう。

 

親が元気なうちにやっておくべき3つのこと

「元気なうちに準備しておけばよかった」

この言葉を、現場で何度聞いたことでしょう。

 

親が倒れてから、入院してから、亡くなってから——

そのタイミングで初めて動き始めると、

子どもの生活が一時的に大きく揺らぐことがあります。

それでは親子ともに不安、心配が一気に加速してしまいます。

今日は、親が元気なうちにやっておくべき3つのことを、具体的にお伝えします。

その1:「この子のトリセツ」を作る

最初にやってほしいのは、お子さんの「トリセツ(取扱説明書)」を作ることです。

好きなこと、嫌いなこと。落ち着く方法、

パニックになりやすい状況とその対処法。

食べられないもの、苦手な感覚。毎日のルーティン。

かかりつけの医療機関と担当医の名前。現在利用している支援とその連絡先

——これらをまとめた「この子のトリセツ」を、一冊作っておいてください。

これは、親が突然いなくなったときに、

周りの人がすぐに「この子のことを知れる」ための道具です。

どんな形でも構いません。

ノートでも、エクセルでも、スマホのメモでも。

大切なのは、作ること、そして定期的に更新することです。

これを見せることで周りも本人も大きな安心につながること

間違いなしです。

その2:「親以外のキーパーソン」を作る

二つ目は、親以外のキーパーソンを作ることです。

キーパーソンとは、

「この子のことを、親に次いでよく知っていて、

何かあったときに動いてくれる人」です。

相談支援専門員がその役割を担うことが理想的ですが、

長年関わってきた支援者、信頼できる親族、地域の顔なじみでも構いません。

大切なのは、その人と「この子のこと」を日頃から共有しておくことです。

「何かあったときに頼む」と言葉で伝えておくことも、重要です。

「この子のことを知っている人を増やすこと」が、親なきあとの最大の備えです。

その3:法的な整備を始める

三つ目は、法的な整備を始めることです。

具体的には、次の3点を確認・整備してほしいと思います。

遺言書の作成——誰に何を残すかを明確にしておく。

特に、きょうだい児がいる場合は、

障がいのある子どもへの配慮を遺言書に記しておくことが重要です。

成年後見制度の確認——お子さんの判断能力の状態によって、

必要な制度が異なります。

早めに専門家に相談しておくことで、いざというときの選択肢が広がります。

信託の活用——特定贈与信託など、

障がいのある方のための資産管理の仕組みを知っておく。

これらは一人で調べて決める必要はありません。

弁護士、司法書士、社会福祉士など、専門家と一緒に進めることができます。

まずは地域の権利擁護センターや社会福祉協議会に

相談することから始めてみてください。

「準備する」ことは「諦める」ことではない

「準備を始めると、自分が死ぬことを認めるようで怖い」

そう感じる方もいます。その気持ちは、とてもよくわかります。

でも準備することは、諦めることではありません。

「自分がいなくなっても、この子の人生が続いていく」ことへの、

最大の愛情表現だと私は思っています。

準備が整っているからこそ、今日を安心して生きることができる。

「万が一のことが起きても大丈夫」という感覚が、日々の生活の安心感を生みます。

親の安心、本人の安心、そして周りの家族の安心

そこを意識していきましょう。

今日のワーク

問い①:「この子のトリセツ」を作るとしたら、最初に書くことは何ですか?


今日、一行だけ書いてみてください。少しづつ書けるようになります。

 

問い②:あなたのお子さんの「キーパーソン」は、今誰ですか?


思い浮かばない方——それが今の課題です。

一人だけでもいい、候補を考えてみてください。

 

次回はシリーズ最終回、「この子の幸せを、親以外と共有できていますか?」です。

グループホーム、施設、在宅——暮らしの選択肢を整理する

「将来、この子はどこで暮らすんだろう」

この問いを、どこかで抱えている親御さんは多いと思います。

でも具体的に考えようとすると、「どんな選択肢があるのか」がわからなくて、

立ち止まってしまうことがあります。

今日は、成人後の「暮らしの場所」の選択肢を整理します。

早めに学んで準備しておくと後々の不安は少なくなります。

主な選択肢を知る

成人後の暮らしの場として、主に次の選択肢があります。

家族と同居——親や兄弟姉妹と一緒に暮らす形。

多くの家庭がこの形を続けていますが、親の高齢化や体力の低下とともに、

いつかは別の選択肢を考える必要が出てきます。

グループホーム(共同生活援助)——数人の障がいのある方が、

世話人のサポートを受けながら共同生活を送る場所。

地域の中で暮らしながら、必要な支援を受けられます。

近年急速に整備が進んでいますが、地域差があります。

施設入所支援——施設に入所して、日常生活の支援を受ける形。

重度の障がいのある方や、医療的ケアが必要な方が利用するケースが多いです。

一人暮らし(サポートあり)——ヘルパーや訪問支援を活用しながら、

一人で暮らす形。知的障がいの比較的軽い方や、

自閉症でも日常生活が安定している方が選ぶことがあります。

思ったより選択肢あると思いませんか?

 

「どれが正解か」ではなく「その子に何が合うか」

これらの選択肢に、優劣はありません。

「施設より地域で暮らす方がいい」という考え方もあれば、

「手厚い支援が受けられる施設の方がこの子には合っている」というケースもある。

何が最善かは、その子の特性、家族の状況、地域の資源によって違います。

大切なのは、「社会がいいと言うから」「周りがそうしているから」ではなく、

「この子に合っているから」という理由で選ぶことです。

そのためには、実際に見学に行くこと、体験利用をすること、

そこで暮らしている方や支援者の話を聞くことが必要です。

グループホームの現実

近年、グループホームは大きく増えています。

でも質には、ばらつきがあります。

良いグループホームは、利用者一人一人の生活を大切にし、

地域とのつながりも育ててくれます。

でも中には、管理的な運営になっているところもあります。

見学のときに確認してほしいポイントがあります。

利用者の表情はどうか。世話人と利用者の関係性はどうか。

外出や余暇活動の機会があるか。家族との連絡はどのように取られているか。

グループホームは「入れれば終わり」ではなく、

入居後も定期的に状況を確認し、

必要があれば変えることも選択肢に入れておいてください。

結構、終の棲家ではないケースもあります。

「暮らしの場」は、変えていい

一度決めた「暮らしの場」を変えることに、罪悪感を感じる方もいます。

でも、人は変わります。環境も変わります。

ある時期に合っていた場所が、数年後には合わなくなることがあります。

「ここに決めたから、ずっとここ」ではなく、

「今の子どもに合っている場所を、その都度選び直す」

という柔軟な視点を持っておいてほしいと思います。

年齢やご本人によって変わることがよくあるのは普通のことです。

今日のワーク

問い①:今住んでいる地域に、

どんなグループホームや施設があるか知っていますか?


知らない方は、地域の相談支援専門員に

「見学できる場所を教えてほしい」と聞いてみてください。

自分が気になるところへご自分で尋ねることも可能ですよ。

問い②:お子さんが成人後「こんな暮らしをしてほしい」というイメージを、

一言で書いてみてください。


その「イメージ」が、選択肢を選ぶときの軸になります。

どんなことがイメージできますか?

 

次回は「親が元気なうちにやっておくべき3つのこと」です。

 

お金のこと、誰かと話したことがありますか?

「お金の話は、なんとなく避けてきました」

そう話す親御さんは、少なくありません。

障がいのある子どもの将来を考えるとき、

避けて通れないのがお金の問題です。

でも、それを誰かと話したことがある親御さんは、意外と少ない。

今日は、避けがちな「お金」の話を、正面から取り上げます。

「なんとかなる」では、なんとかならない

「障害年金があるから大丈夫」「施設に入れれば何とかなる」

——そう思っている方もいるかもしれません。

でも実際には、障害年金だけで生活を賄うことは難しい場合がほとんどです。

障害基礎年金2級で、月額約6万5千円(2024年度現在)。

これだけで、住居費、食費、医療費、日用品——

すべてをまかなうことはできません。

施設やグループホームを利用する場合も、費用がかかります。

公的支援でまかなえる部分と、自己負担が必要な部分を、

具体的に把握しておく必要があります。

 

「なんとかなる」という感覚は、具体的な数字を見ることで変わります。

まず現実を知ることが、お金の問題の出発点です。

親なきあとのお金の流れを把握する

親なきあとに子どもの生活を支えるお金の流れは、大きく3つに分かれます。

公的な収入——障害基礎年金、特別障害者手当など。

これらは申請によって受け取れる権利です。

まだ申請していない方は、早めに確認してください。

親からの資産移転——親が亡くなったあとに子どもが受け取る財産。

遺言書の作成、信託の活用など、生前から整えておく必要があります。

日常的な管理——日々の生活費の管理を誰が担うか。

成年後見制度、日常生活自立支援事業など、支援の仕組みがあります。

これらを一度に整えようとすると大変ですが、一つずつ把握していくことはできます。

「成年後見制度」を知っておく

お金の管理に関して、知っておいてほしい制度があります。

成年後見制度は、判断能力が十分でない方の財産管理や契約手続きを、

後見人がサポートする制度です。

親が元気なうちは、親が子どものお金を管理することがほとんどです。

でも親が亡くなったとき、あるいは親の判断能力が低下したとき、

誰が子どものお金を管理するのか——

これを決めておかないと、子どもの生活が滞るリスクがあります。

成年後見制度には、法定後見と任意後見があります。

詳しくは地域の権利擁護支援センターや、社会福祉協議会に相談することができます。

「親の財産」をどう残すか

「子どものために財産を残したい」と思う親御さんは多いです。

でも、ただ相続させるだけでは、うまくいかないことがあります。

判断能力に制約のある方が大きな財産を受け取った場合、

その管理が難しくなることがあります。

また、きょうだい児との相続問題も生じることがあります。

「特定贈与信託」という制度を活用することで、

障がいのある子どもの生活費として計画的に財産を渡すことができます。

税制上の優遇もあります。

こうした制度は、早めに専門家(弁護士、司法書士、

ファイナンシャルプランナーなど)に相談することで、

家族の状況に合った方法を選ぶことができます。

一度整理した見ることをお勧めします。

 

今日のワーク

問い①:お子さんが成人後、

月にどのくらいの生活費が必要になるか、概算で考えてみてください。


住居費、食費、医療費、日用品、余暇活動——ざっくりでいいです。

現実的に金額を出してみましょう。

 

問い②:その生活費を、誰がどのようにまかなうか、

今どのくらいイメージできていますか?


「全然わからない」なら、まず地域の相談支援専門員か、

社会福祉協議会の窓口に相談してみてください。グループホームなどの見学に行って

概算を知るのもいいかもしれませんね。

 

次回は「暮らしの選択肢」について整理します。

 

成人してからの「居場所」をどう作るか

18歳を過ぎると、学校という「居場所」がなくなります。

毎日通う場所があった。先生がいた。友達がいた。

それが突然なくなるとき、多くの障がいのある方とその家族が、

大きな喪失感を経験します。家族もそうだとしたら

本人は、もっとだということを考えてほしいと思います。

「卒業後の居場所が見つからない」という相談は、

現場で最も多いテーマのひとつです。

今日は、成人後の居場所について一緒に考えてみたいと思います。

「居場所」とは何か

居場所には、2つの意味があります。

一つは「物理的な場所」——毎日通う場所、日中を過ごす場所。

就労先、就労継続支援B型事業所、生活介護事業所

——これらが「物理的な居場所」です。

もう一つは「心理的な居場所」

——自分が受け入れられている、必要とされているという感覚が持てる場所。

これは、物理的な場所と必ずしも一致しません。

毎日通う場所はあっても、そこに心理的な安心感がない。

逆に、週に一度しか行かない場所なのに、

そこにいくと本当に生き生きする——そういうことがあります。

大切なのは、物理的な居場所と心理的な居場所の両方を、

意識的に作っていくことです。

それが、お子さんの安定した未来への第1歩だと思ってください。

卒業後の選択肢を整理する

18歳以降の「日中の居場所」として、どんな選択肢があるかを整理します。

一般就労——企業等に雇用される形で働く。障害者雇用枠を活用することもできます。

就労移行支援——一般就労を目指すための訓練の場。原則2年間利用できます。

就労継続支援A型——雇用契約を結んで働く。最低賃金以上の給与が保証されます。

就労継続支援B型——雇用契約を結ばずに働く。

工賃は低めですが、比較的ゆっくりとしたペースで活動できます。

生活介護——介護と日中活動の場。重度の障がいのある方が多く利用します。

これらは、どれが「正解」というものではありません。

その人の状態、希望、家族の状況によって、最適な選択肢は違います。

「居場所探し」は在学中から始める

卒業してから居場所を探しても、希望する事業所に空きがないことがあります。

人気の事業所は、数年待ちということも珍しくありません。

だからこそ、在学中——

できれば中学生のうちから——見学や体験を始めておくことが重要です。

特別支援学校では、高等部の段階で実習を行うことが多いですが、

それより前に「どんな場所が合いそうか」のイメージを持っておくことで、

実習の質も変わります。

「まだ先のこと」と思わずに、早めに動き始めてほしいと思います。

それが、お子さんのこれからの未来のため、しいてはご家族のためにも

なっていくと思ってください。

「人とのつながり」こそが最大の居場所

物理的な居場所と同じくらい、

あるいはそれ以上に大切なのが「人とのつながり」です。

どんな場所も、そこに「この人がいるから来たい」と思える人がいると、

居場所になります。

逆に、どんなに設備が整っていても、誰とも関わりがなければ、

居場所にはなりません。

支援者との信頼関係、仲間との関係、地域の顔なじみとのつながり

——これらを少しずつ育てていくことが、

これからの長期的な「居場所」を作る最も確かな方法です。

今日のワーク

問い①:あなたのお子さんが今、一番生き生きしている場面はどこですか?


その場面に共通するものは何でしょう。

(活動の種類、関わる人の特徴、空間の雰囲気など)

 

問い②:18歳以降の「日中の居場所」について、今どのくらい情報を持っていますか?


「まったく知らない」なら、

まず地域の相談支援専門員に聞いてみることから始めてみてください。

様々な情報をお持ちのはずです。

 

次回は「お金のこと」について、正面から扱います。

 

 

親なきあとを、怖がらずに考えるための最初の一歩

「親なきあとのことを考えると、怖くて眠れなくなります」

この言葉を、何度聞いてきたでしょう。

 

「親なきあと」は、障がいのある子どもを育てる親にとって、

最も重く、最も避けたいテーマの一つです。

考えようとすると怖くなる。だから考えないようにしている。

でも考えないでいると、不安だけが大きくなっていく。

この悪循環を、今日は少し解きほぐしたいと思います。

なぜ「怖い」のでしょうか?

「親なきあと」が怖いのは、

「自分がいなくなったあと、この子が不幸になるのではないか」

という恐れからです。

これは、子どもを深く愛しているからこそ生まれる恐れです。

責める必要は、まったくありません。

でも「怖い」という感情と、「考える」という行動は、別のことです。

怖くても、考えることはできます。

そして考えることで、怖さは少しずつ、具体的な問いに変わっていきます。

「漠然とした不安」は大きく感じられますが、

「具体的な問い」は解決できることが多い。

「親なきあと」を考えることは、不安を育てることではなく、

不安を小さくするための作業です。

「親なきあと」は「親が死んだあと」だけではない

「親なきあと」という言葉から、多くの方は

「親が亡くなったあと」を想像します。でもそれだけではありません。

親が入院したとき。親が介護を受ける立場になったとき。

親が認知症になったとき。

「親なきあと」は、親の死後だけでなく、

「親が子どもの支援に関われなくなるあらゆる状況」を指しています。

だとすれば、「親なきあと」は遠い未来の話ではありません。

明日、突然病気になることだって、あり得ます。

「今、誰がこの子のことを知っているか」を確認する

親なきあとを考えるとき、最初にやってほしいことがあります。

それは、「今、この子のことを知っている人が何人いるか」

を確認することです。

支援者、先生、地域の人、親戚——この子の特性、好き嫌い、

日常のルーティン、困ったときの対処法を知っている人が、

親以外に何人いるか。

もし「ほとんどいない」という状況なら、

今すぐ動き始める必要があります。

親が唯一の「この子を知っている人」である状況は、最も危険な状態です。

「この子のことを知っている人を増やすこと」

——それが、親なきあとを考えるときの、最初の具体的な一歩です。

「信頼できる人」を一人見つける

次にやってほしいことは、「親なきあとにこの子のそばにいてくれる人」

を一人見つけることです。

親族でも、長年関わってきた支援者でも、地域の顔なじみでも構いません。

「この人なら、私がいなくなっても、この子のことを気にかけてくれる」

と思える人を、一人だけ思い浮かべてください。

その人と、少しずつ「この子のこと」を共有していく。

それが、親なきあとの備えの核心です。

思い浮かぶ人はいますか?

早速、その方とのコンタクト、コミュニケーションとってみてください。

制度や法律を学ぶのは、その次のステップで十分です。

マニュアルは案外すぐとれるもの、だけど人は、そうはいかないのです。

今日のワーク

問い①:今、あなたのお子さんのことを「親以外で」知っている人を、

思いつく限り書き出してみてください。


名前でなくても、「療育の先生」「学校の担任」という形で構いません。

 

問い②:その中で、「この人になら将来を少し託せるかもしれない」

と感じる人はいますか?


いなければ、それが今後の課題です。一人だけでいいです。

これからを考えるとき、ここが大きな課題になると思ってください。

 

次回は「成人してからの居場所をどう作るか」についてお話しします。

 

「自立」って何だろう?——障がいのある子の自立を考え直す

「この子は、自立できるんでしょうか」

この質問を、相談の中で何百回と聞いてきました。

 

でも毎回、私は少し立ち止まって考えます。

「自立」って、何を指しているんだろう、と。

一人で身の回りのことができること?一人で生活できること?

経済的に独立すること?

そのどれもが「自立」の一側面ではあります。

でも、それだけが自立の意味だとしたら、

重度の障がいのある方は「自立できない人」になってしまいます。

それは、本当でしょうか?

「自立」の定義を問い直す

障害福祉の世界では、長い時間をかけて

「自立」の概念が変化してきました。

かつての「自立」は、「他者の助けを借りずに生活できること」

を意味していました。でも今は、違う考え方が広がっています。

「自立とは、自分の人生を自分で決めること」

これが、現代の障害福祉における自立の考え方の中心にあります。

介助が必要でも、支援者の助けを借りていても、

「何を食べるか」「どこへ行くか」「誰と過ごすか」

を自分で選べることが、自立の本質だという考え方です。

「できるようになること」だけが目標ではない

障がいのある子どもの支援では、「できるようになること」が

目標になりがちです。

一人でできるようになった。

言葉が増えた。コミュニケーションが取れるようになった——

これらはもちろん大切なことです。

でも同時に、

「できないことを、誰かの助けを借りてやること」も、立派な自立の一形態です。

一人でできなくても、助けを求めることができる。

「手伝ってほしい」と伝えることができる。

その能力を育てることも、自立に向けた重要な支援です。

娘を育てながら、私がたどり着いた一つの答えがあります。

「できることを増やすこと」と「できないことを誰かと共にやること」

の両方が揃って、初めてその人らしい自立が生まれる、ということです。

「その子らしい自立」を描く

自立のゴールは、一つではありません。

一人暮らしを目指す子もいれば、グループホームでの生活が

その子にとっての自立になる子もいる。

就労が自立の形になる子もいれば、

日中活動の場で生き生きと過ごすことがその子の自立になる子もいる。

大切なのは、「社会の基準に合わせた自立」ではなく、

「その子らしい自立」を描くことです。

そのためには、まず親が「この子の自立ってどういう状態だろう」

と考えることが必要です。

他の子と比べなくていい。

理想の姿を、その子の個性に合わせてイメージしてみてください。

「選ぶ経験」を今から積む

自立の核心が「自分で決めること」だとすれば、

今から積み重ねられることがあります。

それは、「選ぶ経験」を日常の中に作ることです。

「今日のおやつ、これとこれどっちがいい?」

「今日の服、どっちを着る?」——小さな選択を、毎日積み重ねる。

選んだ結果が間違っていても、構いません。

「自分が選んだ」という経験が、その子の中に

「自分の人生を自分で動かせる」という感覚を育てていきます。

今日のワーク

問い①:あなたのお子さんの「その子らしい自立」を、一言で書いてみてください。


「一人で〇〇できること」でなくていいです。

「〇〇な状態で毎日を過ごせること」という形でも構いません。

 

問い②:今週、お子さんに「選ぶ機会」を一つ作ってみてください。


どんな小さな選択でもOKです。その様子を観察してみてください。

どんな選択をしたかな?できたかな?

 

次回は「親なきあとを、怖がらずに考えるための最初の一歩」です。

 

 

 

幼少期に全力を使い果たした親が、その後どうなるか

「18歳になったとき、私には何も残っていませんでした」

ある相談で、お母さんがぽつりと言いました。

18年間、療育、学校、支援——すべてを子どものために注ぎ込んできた。

でも子どもが成人を迎えたとき、親自身の体力も、気力も、人間関係も、

すり減ってしまっていた。

 

これは、特別なケースではありません。

現場で繰り返し見てきた、よくある現実です。

「全力」が当たり前になっていく構造

障がいのある子どもを育てていると、「全力を出すこと」

が日常になっていきます。

診断直後の情報収集、療育機関の選定、学校との交渉、

放課後の送迎、連絡帳の記入——やることが次々と出てくる。

それをこなすうちに、「全力で動き続けること」が、

親としての当然の姿になっていきます。

 

問題は、その「全力」が長期間続くことです。

短距離走であれば、全力を出し切っても回復できます。

でも障がい児育児は、短距離走ではありません。

何十年も続くマラソンです。

最初から全力で走れば、途中で倒れるのは当然のことです。

倒れる前に、何が起きているか

燃え尽きる前には、必ず段階があります。

最初は「疲れた」という感覚。

次に「楽しいと思えなくなった」という感覚。

やがて「なんのためにやっているのかわからない」という感覚。

そして最後に、体が動かなくなる。

この段階を、多くの親御さんは気づかないまま進んでいきます。

「この子のために頑張らなければ」という使命感が、

自分のSOSを見えにくくするからです。

 

20,000件以上の相談の中で、「もっと早く気づいていたら」

と言う親御さんを何度も見てきました。

でも「もっと早く」気づくためには、

「自分が消耗しているサインを見る視点」を持っていることが必要です。

親が消耗したとき、子どもに何が起きるか

「親が倒れても、支援者がいれば大丈夫」と思う方もいるかもしれません。

でも現実は、そう簡単ではありません。

親が精神的・身体的に限界を迎えると、子どもへの関わりの質が落ちます。

支援者との連携が途切れます。

子どもが感じる「家庭の安心感」が揺らぎます。

子どもにとって、親の安定は最も基盤的なセーフティネットです。

その基盤が揺らいだとき、どんなに良い支援も、

その効果が半減してしまうことがあります。

親が元気でいることは、子どものためでもあるのです。

「長く走る」ための考え方

マラソンを走るためには、ペース配分が必要です。

障がい児育児も同じです。

18年間を全力で走り切ることはできません。

だとすれば、どこかでペースを落とすことが必要になります。

でも「ペースを落とす」ことは、「手を抜く」ことではありません。

「長く続けるための調整」です。

今の支援の中で、「これは本当に今すぐ必要か」

「これは少し後回しにしてもいいか」という問いを持つこと。

頑張りすぎている自分に気づいたとき、誰かに「少し助けてほしい」

と言えること。

この二つができるだけで、親の消耗スピードは大きく変わります。

親自身の「人生」を取り戻す

18歳以降の長い人生を子どもと共に歩んでいくためには、

親自身が「人生を持っていること」が大切です。

子どものことだけで頭がいっぱいになっているとき、

親自身の人生は後回しになっています。

でも子どもが成人し、日中の時間が少し空いたとき、

「自分には何もない」と気づく親御さんは少なくありません。

友人関係、趣味、地域とのつながり、自分自身の健康——

これらを、子育ての傍らで少しずつ守っておくことが、

長い目線で見たときの家族の安定につながります。

今日のワーク

問い①:今の自分の「消耗度」を、10点満点で数字にしてみてください。

 

7点以上なら、今すぐ誰かに話すことをおすすめします。

 

問い②:子育て以外で、「自分のためにやっていること」

を一つ書いてみてください。


思い浮かばなかった方——それ自体が、大切な気づきです。

次回は「自立って何だろう?」について深く考えます。

 

 

18歳以降の方が、人生は長い——今の支援の「賞味期限」を考える

「この子が18歳になったとき、私は何歳だろう」

そう考えたことはありますか?

 

障がいのある子どもを育てていると、

どうしても「今」に全力を注ぎがちです。

療育、学校、支援——目の前のことをなんとかすることで精一杯になる。

 

それは当然のことです。

でも、少し立ち止まって考えてほしいことがあります。

0歳から18歳までは、18年間です。

でも18歳以降の人生は、平均寿命まで考えれば60年以上になることもある。

子どもの人生の大半は、18歳以降にあります。

今日はそのことを、一緒に考えてみたいと思います。

「今だけ」に全力を使い果たすことの危うさ

幼少期の支援は大切です。

早期療育の効果は、多くの研究でも示されています。

だから「今、頑張ること」は間違いではありません。

でも問題は、「今だけ」に全力を使い果たしてしまうことです。

 

療育に明け暮れた幼少期。

学校での支援体制を整えることに奔走した学齢期。

その間に、親はどんどん消耗していきます。

そして18歳を迎えたとき、「ここからどうすればいいのか」

と途方に暮れる家庭を、現場で何度も見てきました。

18歳は、ゴールではありません。

むしろ、長い人生の「出発点」です。

なのに、その出発点に立ったとき、親も子も疲弊しきっている。

これが、私が長年感じてきた問題の本質です。

 

20,000件以上の相談を受けてきた中で、

「18歳になって初めて将来のことを考え始めた」

という家庭がどれほど多かったことか。

もっと早く、もっと長い目線で考えておけばよかった——

そう言う親御さんの言葉が、ずっと頭に残っています。

支援には「賞味期限」がある

ここで考えてほしいことがあります。

今受けている支援の多くは、子どもの年齢や状況によって変わっていきます。

幼児期の療育と、学齢期の支援と、成人後の支援は、まったく違うものです。

つまり、支援には「賞味期限」があります。

今の支援が「今の子どもに必要なもの」であることは、もちろん大切です。

でも同時に、「5年後、10年後、20年後の子どもに何が必要か」

を考える視点がなければ、

支援はその都度場当たり的なものになってしまいます。

長い人生を見据えたとき、今の支援の位置づけが変わってきます。

「今なぜこれをやるのか」「これは将来の何につながるのか」

という問いを持つことで、支援の選び方も、優先順位も変わってくるのです。

18歳以降に必要になるもの

18歳以降の生活を支えるために、何が必要になるでしょうか。

大きく分けると、次の4つになります。

暮らしの場所——どこで、誰と、どのように暮らすか。

家族と同居するのか、グループホームに入るのか、施設を利用するのか。

日中の活動——何をして日々を過ごすか。

就労するのか、就労継続支援を利用するのか、生活介護の場に通うのか。

お金のこと——生活費はどうまかなうか。

障害年金、後見制度、家族の資産——これらをどう組み合わせるか。

支えてくれる人——家族以外に、誰がこの子を支えてくれるか。

支援者、地域の人、友人——人とのつながりをどう育てるか。

これらを、18歳になってから急に考えようとすると、間に合わないことがあります。

少しずつ、今から考え始めることが大切です。

「長い目線」を持つことは、今を諦めることではない

「将来のことを考えろと言われても、今が精一杯で」

そう感じる方も多いと思います。それは当然の気持ちです。

でも「長い目線を持つ」ことは、「今を諦める」ことではありません。

今の支援を大切にしながら、同時に「この先どこへ向かうのか」

という方向性だけでも持っておく。

細かい計画でなくていい。

「18歳以降も、この子には豊かな時間を過ごしてほしい」

という思いを持つだけで、今の選択が少し変わってきます。

来月のシリーズでは、18歳以降の人生を「長い目線」で考えるために必要なことを、

一つずつ丁寧に扱っていきます。

今日はその入口として、まず「長い人生がある」

ということを、改めて感じてもらえたら嬉しいです。

今日のワーク

少し立ち止まって、考えてみてください。

 

問い①:あなたのお子さんが30歳のとき、

どんな1日を過ごしていてほしいですか?


朝起きて、どこへ行って、誰と過ごして、夜どこへ帰る——

できるだけ具体的にイメージしてみてください。

 

問い②:その暮らしのために、今から準備できることは何だと思いますか?


答えが出なくても大丈夫です。

「わからない」と気づくこと自体が、大切な第一歩です。

手帳でも、スマホのメモでも、付箋一枚でも。

書き出してみることで、頭の中が少し整理されます。

次回は「幼少期に全力を使い果たした親が、その後どうなるか」について書きます。