
「もっとやらなきゃ」「あれもできてない」「ちゃんとしなきゃ」
——そんなふうに、自分を追い詰めていませんか?
障がいのある子どもを育てていると、
「療育に通わせて」「病院に行って」「きょうだいのケアもして」
「家のことも回して」……
と、毎日がタスクの嵐。
しかも、それが何年も続く。
少しでも気を抜いたら崩れてしまいそうな日々の中で、
「たくさんのことをこなさなきゃ」と思い込んでいた時期が、
私にもありました。
でも、あるとき気づいたんです。
“たくさんのことをする”より、“たったひとつを続ける”ほうが、
ずっと大事だということに。
■ 「全部がんばる」より、「一点だけやる」
私は36年間、重度の知的障がいを持つ娘と共に生きてきました。
その間、数えきれないほどの「やること」に追われました。
手術や通院、療育、学校、支援会議、きょうだいの進学、親の介護……。
「ママだから」「私がしなきゃ」と、全部を抱え込んでいたのです。
でも、どれも中途半端になって、自分を責めていました。
「私はちゃんとできていない」
「他のママはもっと頑張ってるのに」
そんな思いが心をすり減らしていきました。
ある日、娘の手を握りながら、ふとこう思いました。
——“あぁ、今日も生きて笑ってくれた。それでいいじゃない”と。
その瞬間から私は、
「一点主義で生きよう」と決めました。
やることが山ほどある中でも、今日の“一点”だけを大切にしようと。
■ 一点主義とは、「自分がコントロールできるところに集中する」こと
一点主義とは、簡単に言えば「自分の焦点をひとつに絞る」ということ。
子どもの将来、学校対応、家計、人間関係——悩みの数は無限にあります。
でも、私たちが一度にできることは**“ひとつ”だけ**なんです。
たとえば、
・朝、子どもに「おはよう」と笑顔で言うこと
・疲れている日は「今日は休む」と決めること
・一人で抱え込まずに、誰かに話してみること
それができたら、それでいい。
それが今日の“一点”です。
■ 一点を積み重ねると、未来が変わる
焦点をひとつに絞ると、心が落ち着きます。
「全部やろう」と思うと、できなかったことばかりが目につき、自己否定が始まる。
でも、「今日の一点」を意識するだけで、
「できた」に意識が向くようになります。
私の場合、それは
「今日も娘が笑った」
「支援員さんにありがとうと言えた」
「夕飯を簡単にして、自分も座って食べた」
そんな小さなことでした。
でも、その積み重ねが、私を救ってくれました。
気づけば、焦りや不安よりも、“今この瞬間を大事にする力”がついていたのです。
■ 「一点主義」は、心の筋トレ
一点主義は、最初から上手くできるわけではありません。
焦点を絞るには「手放す勇気」が必要だからです。
「全部大事」だと思うほど、何かを選ぶことは苦しい。
でも、選ばなければ、どれも中途半端になる。
だから私は、**“今日、これだけは大切にしたい”**という一点を、
毎朝、自分に問いかけるようにしています。
そして夜寝る前に、「それができたか」を静かに振り返る。
できたら小さく丸をつける。
できなくても、また明日でいい。
そうやって心の筋肉が少しずつ育っていきます。
■ ママたちへ伝えたいこと
障がい児ママたちは、本当にがんばっています。
誰よりも優しく、誰よりも我慢強く、誰よりも愛情深い。
でも、がんばりすぎて、自分を後回しにしてしまうことが多い。
だからこそ伝えたいんです。
たくさんのことをしなくていい。
一点主義で、まずひとつだけやってみよう。
家事でも育児でもなく、
“あなた自身の心がラクになる一点”でいいんです。
今日一日、深呼吸する時間をとる。
誰かに「助けて」と言ってみる。
それも立派な“一点主義”です。
■ 私はずっと一点主義で生きてきた
思い返せば、娘の療育時代も、
コミュニティの代表になったときも今も、
私はずっと一点主義でした。
「今、目の前の一人に向き合う」
「今日、できることを全力で」
それだけで道は開けてきました。
人は“たくさんのことを同時にこなす”よりも、
“ひとつのことを積み上げる”ことで変われる。
その積み重ねが、いつのまにか人生を形づくっていく。
それを、私は身をもって感じています。
どうか、今日を生きるママたちへ。
「たくさんのことをしなくていいよ」
「まず、ひとつだけでいいよ」
焦らなくて大丈夫。
あなたの“一点”が、きっと明日の光になります。




